メディカルコンサルタントのブログ

こんにちは。私は、都内の某大学附属病院の救命救急センターに勤める医師(准教授)です。最近では管理職の仕事が増え、患者さんを直接診る機会が減ってしまい残念です。でもこのような形で、インターネットを通じて、皆さんの健康に関する相談に直接お答えできる機会を持つことで、臨床医として培ってきた知識や経験を、社会に還元してゆきたいと考えています。よろしくお願いします!期間限定となりますが、メールにて無料診断もやっています!

「めまい」について

f:id:medicalconsultant:20180110155240j:plain「めまい」の原因は多岐にわたります。圧倒的に頻度の多いものは、内耳性のめまいです。これは、耳の奥の三半規管が調子を崩すことで発生するめまいです。発作時の気持ち悪さは非常にツライものですが、生命に関わることはありません。これに対して、脳梗塞のめまいは、生命に関わること、および後遺症が残る点で、できる限り早期に発見し、治療を受ける必要があります。
 
すなわち、めまいは大きく

 

①内耳性のめまい

まず、①内耳性のめまいですが、これに対しては点滴や内服の「抗めまい薬」が効果を発揮することが多いです。救急で受診した際に、めまいに伴う”吐き気”のため薬も飲めない場合は、点滴の治療を受けることになります。救急車で運ばれた多くの患者さんは、1~2時間の点滴によって症状が改善し、歩いて帰宅が可能となります、残念ながら改善しない場合は、入院して治療を続けるか、あるいは、(薬で改善しないということは)脳梗塞かもしれないと考えて、そのまま脳梗塞の検査が行われます。
 

脳梗塞のめまい

脳梗塞の検査ですが 、確実に診断するためにはMRI(エムアールアイ)という画像検査が必要です。脳の撮影でよく利用される「CTスキャン」ですが、これは脳梗塞がはっきり写らないことがあり、MRIに比べて精度が劣ります。したがって、中高年や高齢者といった適齢期の患者さんである場合は、少しでも脳梗塞を疑ったらすぐにMRIを撮ることが多いです。脳梗塞は、一度発症してしまったら完全に治るものではありませんが、しかし早期治療を行うことで生命を守り、後遺症を最小限に抑えることが可能です。
 

 ③それ以外

最後に、③それ以外のめまいですが、人間は、体調を崩すとたいてい「めまい感」を覚えます。このような、体調不良にともなう一般的な「ふらつき・めまい感」は、③その他のめまいに当てはまります。しかし①②③のどの原因であっても、患者さんにとっては同じ「めまい」なので、ドクターはその原因検索を慎重に行っています。もし原因が③であった場合は、もとの体調不良の原因に対する治療が行われます。体調が改善すれば、その症状であった「めまい」は改善するはずです。
 
 
以上まとめますと、めまいで受診した際に、点滴などの薬でスッキリ治った場合は、内耳性のめまい、あるいは体調不良であった可能性が高いと思われます。もし、薬でスッキリ治らない場合は、あるいは重度の内耳性めまいか、重度の体調不良(これらは入院の適応あり)であるか、あるいは脳梗塞の可能性も考えて、MRIなどの検査が行われます。もし脳梗塞であれば、迅速な専門的治療が行われることになります。